「レーザービーム」
大リーグ関係者にイチロー氏(51)の印象を尋ねると、積み重ねた安打以上に、マリナーズ時代の守備でのワンプレーを語る人は多い。
「The Throw(あの一投)」とも呼ばれるプレーは、2001年4月11日、米カリフォルニア州オークランドで行われたアスレチックス戦で生まれた。
マリナーズの3点リードで迎えた八回1死一塁、アスレチックスの代打ラモン・ヘルナンデスの打球は一、二塁間を抜けた。一塁走者のテレンス・ロングは首を振り、ボールめがけて突進する右翼手の姿を確認したあと、迷わず二塁ベースを蹴った。
一、三塁にできれば、次は1番ジョニー・デーモンに回る。一打同点のチャンスとするための積極的な走塁だった。
次の瞬間、伝説が生まれた。
背番号51の右翼手は、無駄のない動きから三塁へストライク送球。矢のような鋭い軌道に、試合を中継していたアナウンサーは「レーザービーム」と表現した。
一連の映像は米スポーツ局などのニュースで何度も繰り返し流れ、全米に広まっていった。
イチロー氏は今月21日の殿堂入り発表後、こう振り返っている。
ボールが伸び上がってくるようだった
「あの試合は先発(出場)で…